MacPeople編集長、「“新常識”SSD、クラウドを今こそつかめ」

 1月におけるアップル関連の発表では、19日にお披露目された「iBooks 2」や「iBooks Author」といった教育関連のものが目新しい。25日には、アップルが2012年度の第1四半期で過去最高の四半期売上高と利益を記録したことも明らかになった。

 ますます勢いを増すアップルに、教育関連の新発表はどう影響を与えるだろうか? 月刊誌「MacPeople」の吉田編集長に3月号の記事紹介も含めてインタビューしてみた!

MacPeople 2012年3月号
特別付録小冊子「MacPeople Basic: アドレスブック/iCal」(64ページ)付属
特別定価730円

3月号の目玉は、SSDやクラウドを組み合わせたデータ運用術をまとめた特集1「ストレージ新時代のデータ運用術」、Google Chromeの基礎知識や活用法が把握できる特集4「魅力満載のGoogle Chrome」など。巻頭の「News NAVI」では、アップルの電子教科書関連の発表と合わせ、その反応として教育現場の生の声を盛り込んでいる。表紙に登場いただいたのは、テレビドラマ「ハングリー」主演、またソニー損保CMでおなじみの女優・瀧本美織(たきもと みおり)さんだ

アップルの教育関連発表と日本の教育現場の現状

── 先の教育関連の発表って、今回のMacPeopleでも取り上げてますか?

吉田 発表会の流れやiBooks 2iBooks Author、「iTunes U」の新機能にも触れているけど、一番力を入れたのは、現場の人の声だね。例えば、モノクロページにある飯吉透さんの連載コラム「海の向こうで胸騒ぎII」でも書いてもらいました(関連記事)。飯吉さんは米国在住19年で、カーネギーメロン大学やMITで教育について研究してきた「その道のプロ」なので、かなり詳しいです。

3月号巻頭に、一連のニュース記事を掲載
飯吉透さんの連載コラム「海の向こうで胸騒ぎII」

── といわれると?

吉田 米国の教科書って、そもそもが高価なんだよ。大学だと5000円するのは当たり前で、1万円を超えるものも珍しくない。だから、経済的な理由でレンタルしたり古本を買って利用したりする人も多い。新品が100ドルだとすると、1度使われたやつが60ドルで、さらに古いやつが40ドルとかね。

「MacPeople」の吉田編集長

 ただ、そうやってリサイクルが続くと、中身がアップデートされていないので、最新の情報が行き届かないという悪循環も生まれる。あと、そもそも米国の教科書は分厚いから、重いしね。今回の発表の背景として、そうした問題をどう解決するのかという点がある。

── 教科書って、本の中でも電子書籍との親和性が高そうですよね。少部数出版なので価格が高価になりやすいし、年月にあわせて更新も必要。あと、調べたい情報が載ってる場所を検索で見つけられたら便利ですよ。

吉田 そう、米国における電子教科書の取り組みはアップルだけじゃないんだよね。飯吉さんのコラムにも書かれているけど、「Connexions」(コネクションズ)って電子出版のオープンプラットフォームがあって、すでに1万6000点以上の教科書用素材がオンラインで無償提供されている。

「Connexions」(コネクションズ)

日本の教育現場の反応を探る

── 日本への影響はありますかね?

吉田 そっちは巻頭のニュースページを読んでほしい。前田稔さんと藤原和博さんという東京学芸大学の関係者に話を聞いていて、IT化が遅れているという日本の教育現場の現状が詳しく書かれています(関連記事1関連記事2)。初等教育だとiPadは重くて高価という声もあるそうだし、保護者から「画面をずっと見てたら目が悪くなるんじゃないか」という意見も出てたりして、アメリカほどすんなり受け入れられるとは限らない。

 総務省の成長戦略「新しい成長戦略 ―原口ビジョンII―」とかで、タブレットPCや電子ブックを使ったデジタル教科書の活用が明記されてたりしてるので、全体の方針としては電子化に向かうんだけど、現場が付いてきていない感じなのかな。だから今回、iBooks Authorなどが登場したことで、電子化の議論が再燃すると思う。

 ただ悩ましいのは、今のところアップル製品のみの閉じた環境だという点。私立はともかく、国公立の学校にとっては配信がアップルに限られるという点が導入の障壁になるかも。アマゾンのKindleは、iOS、Android、MacやPCでも同じ書籍を扱えるし、昨年7月から電子教科書のレンタルも始めている。アップルも電子書籍をより広めたいなら、Android用にiBooksを出すべきだと思う。

── 確かに音楽におけるiTunesも、Windows版が出たことでiPodの普及を押し進めましたしね。

吉田 ほかにも、Kindle Fire並みの格安モデルは必要だと思う。大量導入するなら予備を確保しなければいけないわけだしね。過去の機能と端末をすぐに切り捨てるアップルの先進的な姿勢も、互換性や安定性を重視する法人販売の分野では相性が悪い。だって、大量導入したiPad 2が1台壊れたからって、旧機種がないからひとりだけiPad 3を導入したとなったら、それだけでいじめられるかもしれないし。

── あー、それは確かに。

 アップルは、それこそApple IIの時代から教育に力を入れていて、2000年代前半までは市場の一角を穫っていた時期もあったんだよね。米国では白いノートパソコンの「iBook」が大量導入されたりする話もあった。でもその後、あまり聞かなくなって、デルやHPに取って代わられたんじゃないだろうか。2011年1月末には「Xserve」が販売終了になって、研究分野での利用も手を引いた感じになってしまった。

 今四半期で最高の売上高を見せたように、コンシューマー向けの世界では成功しているけど、ビジネス向けはなかなか芽が出なかった。だから、もう一度、教育の分野で法人営業にチャレンジするというのは、アップルファンとしては応援したいところだけど、もう少し法人の事情を汲んでくれるとよりやりやすくなると思う。

詳細はこちら
詳細はこちら
詳細はこちら

SSD、クラウドを組み合わせた活用法を“がっつり”まとめた
第1特集「ストレージ新時代のデータ運用術」

── 3月号では、どんな特集を掲載していますか?

吉田 今月はどれも「がっつり読める」系だね。表紙はテレビドラマ「ハングリー」主演やソニー損保のテレビCMで知られる瀧本美織さんなんだけど、それから想像できないぐらいに中身は“濃い”(笑)。

 第1特集は「ストレージ新時代のデータ運用術」。副題で「SSDやクラウドが当たり前の時代がもうそこに」と書いてあるように、ヘビーユーザーでは高速なSSDに移行する人が増えてきていると思う。MacBook Airのフラッシュストレージもそうだしね。でも、SSDは容量が少ないから、何をSSDに保存して、何を外付けドライブやクラウドに出すのかとか、どうストレージと付き合っていくかをまとめた感じです。

第1特集「ストレージ新時代のデータ運用術」。各種ストレージの基礎知識、構成プラン、移行方法、管理テクニックなどをまとめている

── 吉田さんはどういう運用をしているんですか?

吉田 家はiMacで、会社ではMac miniを使っているんだけど、データはだいたい1TBの外付けHDDにほとんど置いてますね。Mac OS X 10.7のLionからは、内蔵ストレージだけでなく外付けディスクもシステム標準の「FileVault」で暗号化できるようになったので、まぁ、突然死んでも恥ずかしいファイルが外部に漏れないという(笑)。

 MacBook Airも併用してますが、内蔵ストレージにはデータがほとんどはいってなくて、例えばiTunesの音楽はホームシェアリングで引き出したり、出先ならiCloudの「どこでもMy Mac」を使ってアクセスしたりして、データを引き出してます。

仕組みをつかんでトラブルをサクサク解決!
第2特集「マック的トラブルの傾向と対策」

── なるほど。では、第2特集の「マック的トラブルの傾向と対策」は?

吉田 「Macはどうやって壊れるのか?」。Mac OS Xの仕組みを詳しく解説したうえで、何をすれば直るのかをまとめています。読者の方から、「Macにトラブルが起こったときに、何が壊れているのかが分からない」というご意見をいただいたんです。例えば、Macの起動ひとつとってみても、電源オンのあとに音が鳴ってリンゴマークが出現し、データの読み込みを経て青い画面に一瞬切り替わってデスクトップが現われる。そのどこでフリーズしたかで、何が壊れているかが分かります。

第2特集「マック的トラブルの傾向と対策」では、トラブルのもとになりうるマシン/OS/アプリ/ネットワークなどの内部的な仕組みから、その防止策や解決方法までを紹介

── 確かに、Mac OS XになってからOSが安定してOS 9よりトラブルが少なくなったぶん、仕組みを知る機会が減ったかも。

吉田 そうだね。最近びっくりしたのが、うちのデザイナーがプリンターで印刷できないトラブルに遭った話。なぜ壊れたのか仕組みがよく分からないから、アクセス権の修復とか適当に対策したら、よけいに悪化してしまったという。結局プリンター側で、トレイの用紙ガイドがきちんと所定位置に合わさってなかったのが原因で、Time Machineを使って復元するはめになったんだけどね。本体なのか、周辺機器なのか、その原因を見分けるのは大切。

トラブルを減らすには、Mac/周辺機器の設置場所もポイントになる

── トラブルという話でいうと、ハードウェアの熱は今でも多い故障の原因ですよね。

吉田 それは確かにあって、風通しのいいところに置くのは重要。一体型のiMacは背面上にスリットがあって、そこから熱を出してるから、背後を壁にぴったり付けたり、上部が棚や天井に近かったりすると熱がこもってしまう。そうした環境で使っていると、内蔵ストレージが壊れてしまうことも往々にしてある。本体がものすごく薄い一体型なので、内部の設計もシビアなんだよね。逆にあの薄さで、変なところに置かない限りは問題なく使えるというのもすごいんだけどね。

 あとは周辺機器も要注意。昔、AirMac Extremeに外付けHDDをつないでネットワーク共有していた際、発熱する本体の上にHDDを置いていたせいで数ヵ月で壊れてしまった。外付けHDDも熱がこもらない場所においたうえで、パソコン本体と連動して電源が切れるものを選んでおいた方がいいと思う。

「スタイル別 Facebook術」「魅力満載のGoogle Chrome」で
「Facebook」と「Chrome」を便利に使いこなす

吉田 あとは第3特集の「スタイル別 Facebook術」と第4特集の「魅力満載のGoogle Chrome」は、それぞれ超入門の記事ですね。

 スタイル別 Facebook術では、「リアル友達オンリー」「交友関係を広げたい」「ビジネスツールに活用」「自分をアピール! クリエイター」という4タイプに分けて、機能や設定を紹介してます。例えば、「リアル友達オンリー」だと、結構初期設定では「公開」になってるものも多いんだけど、交友関係がおかしくならないようにそれを変えておこうっていう。

第3特集の「スタイル別 Facebook術」。Facebookは、プロフィールやタイムライン表示、各種設定を把握することで、使いやすくなる

── その辺の設定はややこしそう。

吉田 Facebookに投稿した写真にコメントが付いたりすると、そのコメントを付けた人の友人にも配信されたりして、交友関係やプライベートな話がばれてしまったりとかね。そもそも変な写真をネットに投稿しないことも重要なんだけど。

 Google ChromeはウェブブラウザーのシェアでFirefoxを抜いた話もあるけど、ここ数年でかなり快適になったよね。特にJavaScriptの描画が速いから、Facebookなどが気分よく見られる。俺も最近、Firefoxから乗り換えました。なぜかメインで使ってるGoogleアカウントの年齢が未成年になっていて、新しくアカウントを作るのに合わせて移行したんだよね。

最新機能、便利機能、お勧めアドオンなど、お役立ち情報が盛り沢山の第4特集、「魅力満載のGoogle Chrome」

── それって、設定を変えればいいのでは?

吉田 いや、ものすごく面倒くさいし、ウェブで検索した方法の通りにやったけど、なぜかうまくいかなかった。最近、年齢制限が13歳に引き下げられたけど、グーグルのSNS「Google+」を記事の検証で使う必要があったから、サブアカウントを作ったんだよ。でも、Google+を使うためだけに、アカウントをいちいち切り替えるのってめちゃくちゃ面倒くさい。それがChromeなら、設定でアカウントを登録しておけば、ウィンドウの右上でさくっと切り替えられる。

 あとは機能拡張が優れているところがいい。例えば、オンラインメモの「Evernote」は、Mac用の専用クライアントを使ってる人も多いけど、Chromeでアドオンを使うと、それとほとんど同じ使用感を実現してくれたりね。

マンガ連載「iSurvivor」がスタート!

── おおー。しかし、最初に言われたように第1〜4特集の全部が濃いなぁ(笑)。

吉田 ほかにもiCalとアドレスブックについてまとめた特別付録小冊子「MacPeople Basic: iCal」もついてるしね。連載関連もちょっとリニューアルしたんだよ。まずモノクロページで「iSurvivor」ってマンガが始まってます。戦国時代にタイムスリップして、iPhoneとかのデジタル機器を使って生き抜くというお話。

── 戦国時代なのにデジタル機器!

吉田 本編では4ページの漫画のあとに、登場したアプリとかを紹介するコーナーが1ページあります。それに加えて、主人公の草食系男子とヒロインなどが登場する番外編もウェブページでやっていこうかなと思ってます。恋愛系の展開もあるかもね(笑)。

 オンラインソフトのページは、ここ最近は1本を深く紹介する方向で進めていたんだけど、読者からもっといっぱい数を紹介してほしいという要望があったので「原点回帰」して紹介本数をめちゃくちゃ増やしました(Mac用60本)。その充実ぶりも含めて、ぜひ誌面でチェックしてみてください。

なんと、新連載としてマンガ「iSurvivor」がスタート。ウェブ上でも番外編を展開予定だ
オンラインソフトのページでは、お勧めのMac用ソフトを一気に60本紹介。読み応えありだ
表紙を飾っていただいた、テレビドラマ「ハングリー」主演の瀧本美織さんのインタビューも、ぜひ一読を
「ユザーンの川越コンピューター学園」のゲストは、映画監督や脚本家として活躍する大宮エリーさん。Macの使い方が衝撃的すぎ!
OS標準の住所録「アドレスブック」およびカレンダーソフト「iCal」についてまとめた特別付録小冊子「MacPeople Basic: アドレスブック/iCal」(64ページ)と、「MacPeople 3月号」
■Amazon.co.jpで購入
ニュース提供元: