Office 2008超基本ガイド(前編)

約3年ぶりにアップグレードを果たし、販売も好調な「Microsoft Office 2008 for Mac」。Mac版ならではの使い勝手を追求したインターフェース&機能アップはもちろんのこと、Windows版のOffice 2007との互換性についても改善されている。多くのユーザーが注目している本ソフトを、じっくりと紹介していこう。

Feature: Basic Guidance of Microsoft Office 2008


CONTENTS:


1. ラインアップ

「Microsoft Office 2008」のラインアップには、「Word」「Excel」「PowerPoint」「Entourage」「Messenger for Mac」の基本5製品のパッケージと、そのファミリー&アカデミック版に加えて、「Microsoft Expression Media」を含んだ「Special Media Edition」、「Word」「Excel」のみの単体製品──という5つのパッケージがある。



製品パッケージ構成

Office 2008
(1) Microsoft Office 2008 for Mac
Office 2008
(2) Microsoft Office 2008 for Mac Special Media Edition
Office 2008
(3) Microsoft Office 2008 for Macファミリー&アカデミック
Office 2008
(4) Microsoft Word 2008 for Mac
Office 2008
(5) Microsoft Excel 2008 for Mac
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対応システムは、Mac OS X 10.4.9以上(Expression MediaはOS X 10.4以上)。対応マシンは、PowerPC G4 500MHz以上またはインテル製CPUを搭載したMac。なおアップグレード版は、Mac版のOffice 98以降の各シリーズのスイートおよび単体製品のユーザーが対象だ。


共通機能

iPhotoとのスムーズな連携

Office 2008
Word/Excel/PowerPoint/Entourageはいずれも共通して「オブジェクト パレット」の利用が可能だ。Officeが用意するクリップアートや特殊記号の挿入ができ、「写真」タブはiPhotoと連動。ポップアップメニューからはiPhotoのアルバムやロールの選択も可能で目的の写真を見つけやすい

ハイクオリティーなSmartArt

Office 2008
「SmartArt グラフィック」はアウトラインプロセッサーと連動した模式図の作成ツール。Word/Excel/PowerPointに搭載されたエレメンツギャラリーから呼び出せる。「手順」「階層構造」「集合関係」などのカテゴリーから目的のテンプレートをクリックするだけで書類の中に挿入できる

エレメンツギャラリー

Office 2008
Word/Excel/PowerPointのツールバーの下にあるのが、「エレメンツギャラリー」というユーザーインターフェース。複数のタブに区切られており、各種テンプレートを挿入できる。用意されるタブは「SmartArtグラフィック」など共通のものもあるがアプリケーションによって異なっている

コンテクストで変化するツールパレット

Office 2008
Office 2008
ツールパレットの表示内容は、行っている作業に応じて内容が変化する。書類上で画像を選択した場合には図のトリミングや配置の設定を行うパレット、ワードアートを挿入した場合には文字の書式を設定するためのパレットが表示される。ツールパレットのタイトルバー右端にあるボタンをクリックするとDashboardウィジェットのようにパレットが回転し、格納するときのエフェクトや非アクティブになるまでの時間やその際のアニメーションなどを設定できる


2. Wordの新機能

Word 2008では、「デザインビュー」や「文書パーツ」といった新機能が追加された。これらの機能により、ビジネスや個人的な用途で文書を作成する際に、デザインやレイアウトにかかる手間が大幅に削減され、必要なテキストの記入に集中できるようになった。また目立たないが、OpenTypeフォントのサポートにも注目だ。



インターフェース

Office 2008
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「デザイン レイアウト」でプロ並みの仕上がり

Office 2008
文書表示ボタンの「デザイン レイアウト表示」を押すと、「エレメンツギャラリー」で「デザイン テンプレート」を選べるようになる。テーマに合ったものを選ぼう
Office 2008
「デザイン レイアウト表示」では、ウィンドウ下部にあるステータスバーに「背景の設定」メニューが表示され、背景のパターンを全14種類の中から切り替えられる
Office 2008
テンプレートをカスタマイズしたい場合には、ウィンドウ右下のタブを「マスタ ページ」に切り替えよう。テキストボックスを配置して文書の配置を設定したり、イメージとなる画像を張り付けたりといった作業ができる
Office 2008
「挿入」メニューの「図」からも画像の張り付けが可能。画像をダブルクリックすると設定画面が開き、ドロップシャドウや床面への反射といった効果を設定できる。トリミング、リサイズなどの編集機能も備える
Office 2008
「マスタ ページ」を編集したら「Word テンプレート(.dotx)」形式で保存しよう。別の書類を編集する際も同一のレイアウトを再利用できる。Windows版のOffiice 2007とも互換性がある

豊富な文書パーツ

Office 2008
Office 2008
Office 2008
Office 2008
Office 2008
「印刷レイアウト表示」で「エレメンツギャラリー」に表示される「文書パーツ」には、「表紙」「目次」「ヘッダー」「フッター」「文献目録」に分類されたパーツが用意されており、クリックするだけで挿入できる。スタイルが設定されていれば、目次を自動的に生成することも可能だ


SmartArtで作図も簡単

Office 2008
「エレメンツギャラリー」の「SmartArt グラフィック」タブには、模式図のテンプレートを用意している。「リスト」「手順」といったカテゴリーの中から利用したいものを選ぶと、文字入力カーソルの位置にグラフィックを挿入できる
Office 2008
「SmartArt」を挿入すると、同時に「テキスト ウインドウ」が開く。ここにアウトラインを入力すると、その内容が図形の上に反映される。記述した文字数に応じて、図形の中に全体が収まるよう、文字サイズが自動で調整される
Office 2008
「SmartArt」のオブジェクトを選択中は、「SmartArt グラフィック スタイル」パレットが表示され、図形の形状や色を一括して変更できる
Office 2008
「クイック スタイルと効果」パレットを利用すると、選択している図形に対してのみ色やドロップシャドウ、グローなどの効果を適用できる

SmartArtで作図も簡単

Office 2008
「エレメンツギャラリー」の「ワードアート」からは、見出しなどで利用する全41種類の装飾的な文字を挿入できる。書類上のワードアートをダブルクリックするとフォントや文字列自体を変更する画面が表示される
Office 2008
「書式パレット」の「ワードアート」にある「ワードアートの書式設定」ボタンを押すと設定画面が開き、塗りつぶしの色や線、サイズなどを変更できる

Excelデータの差し込み機能

Office 2008
はがきの宛名印刷など、同一の文面の一部だけにリストの内容を差し込む方法も簡単になった。まず、「ツール」メニューから「差し込み印刷マネージャ」を選ぶ
Office 2008
「差し込み印刷マネージャ」が表示されたら、「1」~「6」の連番の付いたパレットを順に開いて、指示されている項目を指定していくだけで差し込み印刷を行える
Office 2008
まずは「1.文書の種類の選択」の「新規作成」メニューで、差し込み印刷を行う書類の種類を選ぼう。「ラベル」「封筒」など、利用される機会の多いテンプレートが用意されている
Office 2008
次に「2.宛先一覧の選択」の「宛先一覧」メニューから、差し込むデータのソースを選択する。ExcelやWordのファイルのほか、Officeのアドレス帳なども読み込める
Office 2008
続けて「3.プレースホルダの挿入」で、差し込みしたいデータの要素を、印刷したい書類上の位置にドラッグ。あとは、結果をプレビューして印刷するだけだ

iPhotoとの連動もスムーズ

Office 2008
「オブジェクトパレット」の「写真」タブではiPhotoライブラリーの写真を直接読み込める。ポップアップメニューからアルバムの選択も可能で、スライダー操作でサムネールの大きさも簡単に変更できる。張り付けたい写真が見つかったら、書類上にドラッグ&ドロップするだけだ

OS X風の環境設定画面

Office 2008
アイコンでカテゴリーがまとめられ、探している設定項目を探しやすくなった。検索フィールドに語句を入力してダイレクトに見つけ出すこともできる


3. Excelの新機能

新しいExcelには、住所録や予算の管理など一般的に使用頻度の高いテンプレートが追加された。これらは、エレメンツギャラリーから選択するだけで呼び出し可能だ。面倒な関数の入力時にも「合計」や「平均」といったキーワードから関連する関数を検索し、ウィザードに従って入力できる機能が追加されている。



インターフェース

Office 2008
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豊富なテンプレートを用意

Office 2008
エレメンツギャラリーの「シート」タブには、「リスト」「レポート」「予算管理」などに分類されたテンプレートを用意。ここから目的に合ったものを選択すれば、シートが挿入され即座にデータを入力できる
Office 2008
例えば「予算管理」でシートを追加すると、書式パレットに「資産/財務管理シート」が表示される。シートのカラーリングを再指定したり、行の高さを調節したりも可能だ。また「挿入」/「削除」メニューからは、過不足のある要素の挿入/削除を実行できる

グラフの挿入

Office 2008
必要なセルを選択した状態で、エレメンツギャラリーから生成したいタイプのグラフを選択すれば、自動的にグラフ化して表示される
Office 2008
Office 2008
エレメンツギャラリーの「グラフ」タブには、「横棒」「縦棒」といった基本的なパターンから、「株価」「等高線」などの専門的なテンプレートまで用意される

グラフスタイルの変更

Office 2008
グラフを挿入すると、書式パレットに複数の新しい項目が追加される。「グラフオプション」からは、タイトルやグラフ上の軸、目盛の表示/非表示などを切り替え可能
Office 2008
「グラフデータ」では、行/列の値の割り当てを反転できる。「グラフのスタイル」は、グラフ上の色をまとめて変えるものだ
Office 2008
選択したグラフ上の要素をワンクリックで変更できる「クイックスタイルと効果」。ドロップシャドウやグロー、床面への反射/立体化といった効果を用意する


数式のオートコンプリート

Office 2008
関数を挿入する際は「オートコンプリート」機能を使うと便利だ。まずは「=」のあとに関数名の頭文字を入力。すると名前から予測された関数がポップアップ表示される。あとは上下の矢印キーで任意の関数を選択し、「return」キーを押せばいい
Office 2008
「オートコンプリート」機能を使って関数を指定すると、引数として指定する必要のある値の説明がツールチップに表示される。この指示に従って、参照するセルをクリックして指定/入力すればいい

面倒な数式入力をサポート

Office 2008
ツールパレットにある数式パレットからは、関数の一覧を確認できる。また検索フィールドに「日付」「割り算」などの目的を入力して、該当する関数を絞り込むことも可能だ
Office 2008
リスト内の関数を選択すると、「説明」欄に機能や指定するべき引数などの解説文が表示される
Office 2008
Office 2008
リスト内の関数をダブルクリックすると、カーソルが置かれているセルに関数を入力できる(左)。あとは、数式パレットに追加される「引数」欄に値を入力すればいい(右)
Office 2008
数式パレットで「この関数の詳細なヘルプ」のリンクをクリックすれば、関数の使い方の詳細ページが開く。引数の指定方法がわからない場合には、入力例が掲載されているので参考にしよう

新しく追加された条件判別関数

Office 2008
「IFERROR」は、数式の計算結果がエラーになった際にシート上に表示する値や文字列を指定するための関数。引数の「値」には通常行う計算式、「エラーの場合の値」にはエラーが起きたときに表示する文字列を指定する
Office 2008
「SUMIFS」は、引数の「条件範囲」内のセルをチェックする関数。「条件」で指定した内容に合致するかどうかを判別し、「合計範囲」内に関連するセルの値だけが表示される

一新された「環境設定パネル」

Office 2008
環境設定パネルは、OS X標準の「システム環境設定」と類似した作りになった。アイコンとテキストで表示することで、目的のカテゴリーへ直感的にアクセスできる
Office 2008
アイコンをクリックするとそれぞれの詳細設定画面が開く。ここでは、「計算方式」パネルを表示した

常に切り替わる書式パレット

Office 2008
作業内容によって切り替わる書式パレット。「テーマの編集」では、使用するフォントの設定や文字色、背景画像などを切り替えられる。自分で編集した内容を「テーマファイル」として保存することも可能だ
Office 2008
SmartArtオブジェクトを挿入すると「SmartArt グラフィック スタイル」が追加される。ここでは、選択しているオブジェクトの外観や色をワンクリックで変更できる
Office 2008
「ワードアート」を挿入すると「クイック スタイルと効果」が現れる。文字の塗りつぶし色やアウトラインの色を変更できるほか、複雑な形状のベースラインも適用できる

(「中編」に続く)


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