Mac mini通常版とServer版の違いとは何か?


Snow Leopard Server搭載Mac mini
「Snow Leopard Server搭載Mac mini」

 Mac miniといえば、アルミ製薄型ボディーにMacらしさをギュッと詰め込んだマシン。コンパクトなデスクトップ機を好む層だけでなく、Macの中でもっとも低価格なために入門機として選ぶ人も多いようです(Apple Storeで見る)。

 本連載「Mac mini de 家鯖」では、「Mac OS X Server v10.6 Snow Leopard」(Snow Leopard Server)をバンドルしたIntel Core 2 Duo(2.66GHz)搭載モデルを対象に、ホームサーバーの役割を担う「もう1台のMac」としての活用方法を紹介していきます。


「Mac mini Server」はココが違う

 6月に発表された新Mac miniは、アルミニウム一体形成の「ユニボディ」を採用、筐体デザインが一新された。サイズは一回り大きくなったものの、電源を内蔵したことにより、マシンをすっきり設置できるようになった。工具を使わずに底面パネルを開けることも可能になり、メンテナンス性は大きく向上している。25%の低消費電力化、SDXC対応のSDカードスロット搭載も、大きな変更点といえる。

 そして「Mac OS X Server v10.6 Snow Leopard」(以下、Snow Leopard Server)を採用したMac mini(以下、Mac mini Server)は、Mac OS X 10.6 Snow Leopard搭載(以下、標準版)のMac miniとハードウェアスペックはほぼ同じだが、細部をチェックすると、まったく異なるマシンだという印象が強くなる。

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 まず、OSが異なる。バンドルされたSnow Leopard Serverは、標準版の全機能を備えつつ、サーバーとしての活用に備えた多数の管理ツールが追加されている。初めて電源を投入したときのセットアップ作業には、ネットワークに関する高度な設定やサーバー機能の取捨選択を行なうステップがあり、ここで面食らう人も多いはず。セットアップ完了後にデスクトップを見たとき、Dockに登録された見慣れないアイコンの数々にも驚くはずだ。

Mac mini Serverに同梱のドキュメント類。DVD-ROMも2枚あるが、ネットワーク共有などの方法を使わなければ読み込めない
セットアップ中の画面には、サービスの設定など標準版にはない項目がいくつかある

 ハードウェアも異なる。SuperDrive(DVDスーパーマルチドライブ)の代わりに500GB/7200rpmのHDDを2基搭載、1台のMac miniでRAIDを組める構成となっている。光学ドライブを廃しただけでなく、差し込み口そのものがなくなっているため、ボディーデザインまで一部変更されていることもポイントだ。

Snow Leopard Server搭載のMac mini。SuperDrive(DVDスーパーマルチドライブ)の廃止に伴い、ディスクの差込口が省略されている
取り外しが用意な底面パネルを採用、メモリーモジュールの交換も手軽になった

Mac mini Serverの基本ツール

 Snow Leopard Serverは、サーバー用途に最適化されてはいるものの、標準版にサーバー機能を「+α」したOSであり、基本的には同等に利用できる。FinderやDockはもちろん、大半のMac OS X向けアプリケーションはそのまま動作する。

Snow Leopard Serverのデスクトップ。一見すると標準版と違いがわからないが、Dockには見慣れないアイコンが並んでいる

 しかし、一部のアプリケーションはインストールできない。標準装備されているiTunesを除き、iLifeはインストールの時点で拒否される。市販のアプリケーションも、Snow Leopard Serverは正式な動作保証を行なっていないものが大部分だ。

 システム環境設定の「共有」パネルで設定を行なう機能群も、だいぶ異なる。標準版では、ファイル共有(AFP、SMBなど)やプリンター共有の設定は「共有」パネルを利用するが、Snow Leopard Serverでは「サーバ管理」という管理ツールを使う。リモートログインなどいくつかの項目は「共有」パネルに残されているが、サーバーとしての機能は基本的にこちらへ移管されている。

各種サーバー機能の詳細な設定を行なう管理ツール「サーバ管理」

 もうひとつ、Snow Leopard Serverには「ワークグループマネージャ」という管理ツールが用意されている。こちらは、組織内に存在するユーザ/グループ/コンピュータを一定のポリシーの元運用するためのもので、ディレクトリーサービスに統合されている。

アカウント管理を行なう「ワークグループマネージャ」

 その2つのツールをまとめたような存在が「サーバ環境設定」だ。システム環境設定とよく似たインターフェースを備え、サーバー機能は必要最小限の項目で設定できるよう、情報量が大幅に簡素化されている。Snow Leopard Serverを初めて使う場合には、まずこのツールを理解しよう。

システム環境設定風のパネルでサーバーの主要機能を設定できる「サーバ環境設定」

Mac mini Serverのお約束

 それでは早速Snow Leopard Serverの設定をスタート……の前に、新Mac mini Serverならではの準備を済ませておこう。

 まずは、リモートディスクの設定。Mac mini ServerはSuperDriveが省略されているため、DVD/CDドライブを備えたもう1台のMac(WindowsマシンでもOK)で共有機能を有効にしておかなければならない。サーバーではそれほど利用頻度が高いとは思えないが、オプションの外付け光学ドライブ「MacBook Air SuperDrive」()を購入してもいいだろう。

 もう1つは、SDカードの挿入。スロットは背面にありアクセスしにくいため、設置場所次第ではスロットは“死蔵”を余儀なくされる(カードを抜き差しするたび本体を動かすことが苦痛でなければ話は別だが)。異論はあるかもしれないが、できるだけ容量の大きいSDXC準拠のカードを刺し、補助記憶装置として使うほうが吉だろう。

 デュアルディスプレーで使用するつもりならば、Mini DisplayPort用ケーブルの手配も必要だ。Mac mini Serverには、HDMI-DVIアダプターは同梱されているが、折角のMini DisplayPortを生かさない手はない。「Apple Mini DisplayPort - DVIアダプタ」()など、利用するディスプレーに応じたケーブルを用意しておこう。

DVD/CDドライブを搭載した他のMacの共有機能を有効化しておくこと
SDカードスロットは背面に用意されているため、設置場所によっては抜き差し不能となることも
デュアルディスプレー環境で利用したければ、HDMI-DVIアダプターのほかにMini DisplayPort用ケーブルも必要

 次回からは、Mac mini Serverをテスト機として、Snow Leopard Serverならではの活用方法を紹介していく予定だ。


筆者紹介──海上忍


 ITジャーナリスト・コラムニスト。アップル製品のほか、UNIX系OSやオープンソースソフトウェアを得意分野とする。現役のNEXTSTEP 3.3Jユーザにして大のデジタルガジェット好き。近著には「改訂版 Mac OS X ターミナルコマンド ポケットリファレンス」(技術評論社刊、)など。



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