日本の個人・独立系iOSアプリ開発者【2】—STUDIO-蔵

なつかしのカプセルトイで遊べる、STUDIO-蔵の「ガチャコン」

ーー「」についてお聞かせください。着想のきっかけはなんですか?

STUDIO-蔵(以下、蔵) しょうもないアイデアでも、1本にまとめれば何とか形にできるのではないか……と。ボツになったアイデアの供養みたいなものですね。

「ガチャコン」は、まさに見た目通りそのまんまでございますw ゲーム内の”百円玉”をドラッグし、ハンドルをスワイプしてまわして楽しむカプセルトイです。ちなみに百円玉は10分ほどで復活するのですが、注目していただきたいのは景品のユニークさ。個人的には「音ボックル」がイチ押し! これが集めたくて始めました、はい。右の画面写真は、景品で部品を集めていくロボット、ガチャキング。だいぶプレイしましたから、完成間近です!

ーー景品は、どのように決められていますか?

 アイデアを持ち寄ったり、誰かが勝手に作り始めたり、様々です。

 最終的にはアイデアの良し悪しより「いかに簡単に作れるか」で決めています。あまり時間をかけると作っていて楽しくないですし、そういうアプリは遊んでも楽しくないと思いますので。

ーーご自身で気に入られている景品を教えてください。

 やはり「うろ覚え神経衰弱」でしょうか。手前味噌ですが、あれだけでもう1本作れるくらいのポテンシャルはあると思います。個人的には「テトリヌ」も好きなんですけど、「遊び方がわからない」というメールがたくさん届いたので少しヘコんでいます。

「おもちゃ」というカテゴリの景品には、簡単に遊べるものが揃っている。「METRO BOY」は本体を傾けてロケットを操作、隕石をかわすゲーム。「ミニ・ルーレット」は読んで字のごとくなのだが、項目を書き換えることができるので、ちょっとした抽選や王様ゲームにも使える。中でもおすすめは「うろおぼえ神経衰弱」。タイトル通り「うろおぼえ」なのだが、何がうろ覚えなのかはぜひ、プレイして確かめてもらいたい

ーーボツになった景品案はありますか? よろしければ、いくつかお聞かせください。

 たくさんありますが、それらもいずれ景品として入れたいと思っています。内容的にボツになったというより、手間がかかるのでボツになったようなものが多いので。基本的にやる気がないんです。

ーー景品の中でも「音ボックル」が非常にユニークだと思うのですが、まず着想のきっかけをお聞かせください。

 レビューで「グルーヴ地獄のパ●リだ」と叩かれましたが、実際は「どうぶつの森」に出てくる「はにわ」のパク○です。いずれにせよパクリです。すみません。

「音ボックル」は「ガチャコン」で手に入る景品で、1つ1つが打楽器になっている。これをプレイするとアフリカンなビートの利いた曲が楽しめるのだが、おもしろいのはそれぞれの景品(=打楽器)のON/OFFが可能なこと。曲としては、一度にすべてを鳴らしたところで完成なのだろうが、音を足したり引いたりして、ちょっとしたミックス気分が味わえるようになっている。もちろんON/OFFは再生中にも可能だ

ーー音ボックルの曲はアフリカンといいますか、エスニック調のものですが、それはなぜですか? また、ボツになった曲などはございましたか?

 もともとはファンタジー系のほんわかしたサウンドだったんですけど、途中で方向転換しました。やはりビートボックスには打楽器の方が向いてると思いましたので。結果的に正解だったと思います。

ーーゲーム内の通貨である(?)百円玉を安価なアプリ内課金で提供しようというお考えはございますか?

 課金は最初から考えていませんでした。「お金を取ったら叩かれるよ」と死んだ祖母が言ってましたので。でも、油田が買えるくらい利益が出るなら課金したいと思います。人間だもの。

ーー今後のアップデートのご予定を、可能な範囲でお聞かせください。

 とりあえず現行アプリの景品を追加して、その後は第2弾を作ろうと思っています。2匹目のドジョウを狙うとたいがいコケますが、まぁ「コケてもいいや」と。

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作者 価格 無料
ファイル容量 13.7MB カテゴリ
対応デバイス iPhone/iPod touch
およびiPad互換
対応OS iOS 3.1以降

この文章は、電撃ゲームス 2010年07月29日発売号記事企画のために行われたメールインタビューの全文です。

世界観がユニークなパズルゲーム「つなゲー」

ーー「」についてお聞かせください。まず世界観が非常にユニークなのですが、ゲーム仕様が先にできましたか? それとも世界観でしょうか?

 (おまけで収録されている)肉を焼くアプリのアイデアが先にあったのですが、それを単体で販売する勇気がなかったのでゲーム要素を追加したという感じです。ゲームでも世界観でもなく、焼き肉ありきです。

ーーテーマソングが収録されていますが、これはどのように制作されたのでしょうか?

 友人に作ってもらいました。「ゲームには価値はないけど、曲だけなら買う価値がある」と好評です。ありがとうございます。

ーーご自身がお考えになる攻略のコツがあれば、お聞かせください。

 「自己ベストが世界記録だ」と思うことです。

「つなゲー」は、牛をさらおうとする宇宙人のUFOをパズルゲームを解いて攻撃するという内容。パズルのルールは、同じ宇宙人を4つ揃えたところでダブルタップして消すというものだ。それ自体には特に変わったところはないのだが……パズルで稼いだ賞金で焼き肉を食べるというご褒美がなんとも言えない。せっかく守った牛なのに、食っちゃう! ということなんでしょうかw また、タイトル画面で流れるBGMもユニーク。焼き肉屋さんでかかっていれば納得の、ちょっとノイジーな(違う?)名曲です。注意しなければいけないのは、宇宙人のブロックを直接動かすタイプではないということ。縦、もしくは横の列単位で動かしていくのだ。ついカンチガイして動かしがちなので、早く感覚に慣れよう。ちなみに焼き肉は目と耳を楽しませてくれる
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作者 価格 115円
ファイル容量 16.3MB カテゴリ
対応デバイス iPhone/iPod touch
およびiPad互換
対応OS iOS 3.0以降

毒舌マスコット「ロールちゃん」、心霊写真を撮れる「心霊カメラ」

ーーラインナップには「」や「」などのジョークアプリもございますが、これらを作られたきっかけがあれば、お聞かせください。

 どれもMacからの移植になります。Mac版をなぜ作ったのかというと、もう昔のことなのでよく覚えていません。ただ、どちらにも「気に入ってくれた人だけ楽しんでもらえればいいや」という気持ちは共通していた気がします。

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作者 価格 無料
ファイル容量 0.7MB カテゴリ
対応デバイス iPhone/iPod touch
およびiPad互換
対応OS iOS 3.0以降
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作者 価格 無料
ファイル容量 1.0MB カテゴリ
対応デバイス iPhone/iPod touch
およびiPad互換
対応OS iOS 2.2以降

iPhoneアプリ開発の魅力

ーー以降、一般的な質問です。まず、iPhoneアプリを作ってみようと思われたきっかけをお聞かせください。

 ちょうどiPhoneが日本展開する直前に起業したので、渡りに船という感じでした。今思うと、ちょっとガツガツしていたかもしれません。

ーー他のプラットフォームとは違う、iPhoneアプリ開発の魅力をお聞かせください。逆に魅力ではなく、苦労される点もあれば、お聞かせください。

 世界中に配信できるのに、驚くほど敷居が低い点が魅力だと思います。苦労する点はあまりないですかね。たまに「これ何語?」というメールが届いてビックリすることはありますが。

ーー現状のiPhone市場について感じられていることをお聞かせください。

 個人が大手を打ち負かすことができる、極めて特異な市場だと思います。別に勝ち負けが重要ではないと思いますけど。

ーー現状のiPhoneユーザーについて、どのような層をイメージされていますか? また、それに合わせたタイトルをリリースしようとお考えですか?

 トレンドに敏感な層だと思いますが、そういう人たちを無視したアプリを作っていきたいと思います。媚びると見捨てられそうな気がしていますので。

ーーiPhone市場の今後は、どのようになるとお考えですか?

 アタリショックのような状況になる気がしています。実際その入り口にさしかかっているかな……という印象もありますけど、あまり気にしてもしかたないですし。

ーー今後のiPhoneアプリ開発、リリースに関するご予定をお聞かせください。

 新作ではないのですが、夏に向けて「」のバージョンアップを予定しています。リリースが秋にならないようにがんばりたいと思いますが、ズレ込んだら南半球向けということにしたいと思います。

ーー最後に、読者の皆さんにメッセージをお願いいたします

 オラにやる気をわけてくれ!

この文章は、電撃ゲームス 2010年07月29日発売号記事企画のために行われたメールインタビューの全文です。


筆者紹介──倉西誠一

石川県金沢市出身の元・電撃PlayStation編集長。著書は「モンスターハンター」シリーズのプレイログである「狩られ道」「狩られ道豪黒毛」(いずれもアスキー・メディアワークス)だが、最近はすっかりiPhoneゲーマー。Twitterアカウントはkararemichi

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