フラッシュストレージが速い! MacBook Airを徹底ベンチ


 前回のインプレッションに引き続き、新しいMacBook Airのベンチマーク記事をお届けしよう。

 ベンチマークのために集めた機種は合計6台。新しいMacBook Airでは、11インチの64/128GBモデル、13インチの256GBモデルを準備した。加えて、乗り換えユーザーを想定し、旧MacBook AirのHDDモデルと、1世代前のMacBookホワイトを用意。さらに現行モデルとの性能差を見るために、13インチMacBook Proでもテストを実行した。

 いずれもクリーンインストール直後の状態のものを用いている。なお、旧MacBook AirのSSDモデルも検証したかったのだが、時間までに手に入らなかったため断念した。結論から言えば……

といった感じだ。


ベンチマークに利用したMacの仕様

11インチと13インチのMacBook Air
詳細はこちら
旧MacBook Air
旧MacBook
13インチMacBook Pro
詳細はこちら

CPUのテスト

 主にCPU性能を測るテストでは、すべてがCore 2 Duoを採用しているため、クロック周波数相当といった感じで並んでいる。

 新MacBook Airが搭載するのは、11インチモデルがCore 2 Duoの1.4GHz(SU9400)、13インチモデルが同1.86GHz(SL9400)だ。ミニノートが採用するAtomシリーズよりはマシとはいえ、Core iシリーズが主流になった今では、お世辞にも速いCPUとはいえない。重い画像処理や動画のエンコードを始めると、その差が目立ってしまう。

 といっても、動画のエンコードや画像のフィルター処理は、ほとんどの人にとって関係ない話のはず。後述するようにディスク性能が高いこともあって、メールやウェブを見る分にはまったく支障なく快適に使えていた。

iTunes 10.01を使い、40分のAIFFファイルをAAC/128kbpsでエンコードするのにかかった時間を計測
Pro版のQuickTime Player 7.5.5でDVファイルを読み込み。「ファイル」メニューの「書き出す」を選んでH.264(「ムービーからQuickTimeムービー」の初期設定)のエンコードを完了するのにかかった時間を計測
「Adobe Photoshop CS5」のアクションを使用し、4064×2704ドットのTIFF画像に、15種類のフィルターを連続して適用した際の時間を計測

グラフィックのテスト

 グラフィックは、3D描画の性能で旧世代より大きく進化して、現行モデルと肩を並べる形となった。3Dゲームなどはより快適に楽しめるだろう。

 なお、新MacBook Airが採用するグラフィック統合チップセット「NVIDIA GeForce 320M」は、現行ラインアップでもMac mini/MacBook/13インチMacBook Proが採用している。

「Adobe Photoshop CS5」で縦1万4400×幅640ドットの画像を開き、100%表示で上からしたまでスクロールするのにかかった時間を計測
独マクソン・コンピュータのベンチマークソフト「CineBench」を実行。CPUはCPUの、OpenGLはGPUの性能が分かる

ディスクのテスト

 ディスク性能は、MacBook Airの圧勝だ。

 例えば、1GBファイル/1GBフォルダーの複製において、13インチMacBook Airと13インチMacBook Proを比べると、およそ半分くらいの速度で処理を終わらせている。起動速度では、旧MacBookと13インチMacBook Pro(2.5インチHDD、5400回転/分)の約半分、旧MacBook Air(1.8インチHDD、4200回転/分)の約4分の1という圧倒的な差を見せつけた。

 HDDからSSDに乗り換えた人なら分かると思うが、ディスクアクセスが早くなると、Safariが保存しているキャッシュファイルや写真管理ソフト「iPhoto」に登録した写真などの読み出しが早くなる。外付けHDDやUSBメモリーからのファイルをコピーするのも短時間で済む。さまざまなところで体感速度が向上するので、「これは速いマシンだ!」と実感できるだろう。

1GBのイメージファイル、合計1GBのファイルを含んだフォルダーをデスクトップに置き、複製するのにかかった時間を計測した
電源ボタンを押してからデスクトップが現れるまでの時間を計測

バッテリーのテスト

 バッテリー駆動時間のテストは、公称スペックの順という印象。H.264動画の再生は割と高い負荷なので、ネットとメールがメインの用途ではもう少し持つはずだ。旧MacBookと13インチMacBook Proは、普段より使っていたため、バッテリーが若干ヘタっている可能性がある。

アップルが配布する基調講演のビデオポッドキャスト(H.264、640×360ドット)をループ再生して、画面が消えるまでにかかった時間を計測。画面の輝度最大、無線LANオン、ボリュームオフという環境でテストしている

総評:8割のニーズは満足できるのでは?

 新MacBook Airのハードウェア的な特徴をざっくりまとめると、CPUパワーは控え目で、ディスク性能が突出しているという感じだ。

 パレートの法則ではないが、世間の8割がパソコンを使う理由は、SNSやブログなどのウェブが見たかったり、メールやチャットでコミュニケーションしたいというものだろう。その用途においては、新MacBook Airは不満なく使える。筆者も2日間、原稿書きやネットでの下調べに11インチモデルを使っていたが、特に不満を感じたことがなかった。

 ただ、残りの2割の人が求める動画編集や音楽作成といったクリエイティブ系の作業にはお勧めできない。MacBook Airには、同機と一緒に発表されたアップルの統合マルチメディアスイート「iLife '11」も含まれているが、動画編集ソフトの「iMovie」や音楽作成ソフト「GarageBand」はCPUパワーがあったほうが快適に使える。8万8800円より値段はかなり上がるが、筆者的には11万8800円からというiMacをお勧めしたい。

 次回はBoot Campを使って、MacBook AirにWindowsをインストールする手順をまとめていきたい。



■関連サイト

ニュース提供元: