iPadをDLNAクライアントとして活用する

NASに保存されているデータをiPadで表示する

 大量の音楽や動画/写真をiPadで鑑賞する場合、パソコン内のHDDにアクセスする方法と、「Dropbox」、「Sugarsync」、「ZumoDrive」などのクラウドサービスを利用する手がある。詳しくは、「iPad徹底活用レシピ ― 第6回 iPadを動画ビューワーとしてフル活用してみる」で紹介している。しかし、家族や電気代、騒音などの理由で、パソコンを24時間起動させることができない場合もあるだろう。また、クラウドサービスで2GB以上の容量を利用するなら、コストがかかる。例えば「Sugarsync」の場合、60GBなら年間99.99ドル、250GBなら249.99ドルだ。書類データ中心、あるいは必要になりそうなデータのみ置くのなら検討に値するが、動画や楽曲データなど大容量ファイルも含めすべてのデータを置くとなると、現状ではTBクラスのHDDが買えるほどの料金となる。さらに動画や楽曲データをストリーミング再生する場合など、クラウドからの読み込みに時間がかかるのもネックだ。

 そこで今回は、ネットワーク接続の外付けHDD(NAS)に入っているデータをiPadで活用する方法を紹介する(連載目次はこちら)。

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ファイル容量 5.9MB カテゴリ
対応デバイス iPhone/iPod touch
およびiPad互換
対応OS iOS 3.1以降
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ファイル容量 2.7MB カテゴリ
対応デバイス iPhone/iPod touch
およびiPad互換
対応OS iOS 3.0以降
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ファイル容量 1.7MB カテゴリ
対応デバイス iPhone/iPod touch
およびiPad互換
対応OS iOS 3.0以降

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DLNA対応NASにiPadアプリからアクセスする

 NAS(Network Attached Storage)とは、LAN接続できる外付けHDDのこと。USBやeSATAでパソコンにつながず、ハブやルーターに直接接続するのが特徴だ。古くからあるデバイスで、容量にもよるが1万円程度から手に入る。複数台のHDDを内蔵し、4/8TBといった大容量を実現したNASも発売されている。LAN接続するので、特定のパソコンを起動している必要がなく、ネットワーク内のパソコンから自由に利用できるのがメリットだ。

 とはいえ、iPadから普通に共有ファイルにアクセスすることはできない。そこで、利用するのがDLNAに対応するアプリ。DLNA(Digital Living Network Alliance)は、家電やパソコン、携帯デバイスなどの間で、メーカーを問わず相互接続できるようにする規格だ。ゲーム機からパソコン内の動画を再生したり、リビングに置いてあるレコーダーの録画番組を自室のネットワークプレーヤーで視聴するといったことが可能になる。DLNAサーバー機能を備えたNASを使えば、ゲーム機やネットワークプレーヤーはもちろん、iPadからでもアクセスできる。もちろん、無線LANの速度さえ十分なら、複数台から同時にアクセスすることが可能だ。

DLNA対応NASをセットアップしてデータを保存

 今回は「LS-QL/R5」シリーズ(バッファロー)の2TBモデル「LS-Q2.0TL/R5」を利用して手順を紹介しよう。まずは、付属ディスクからユーティリティーをインストールし、NASをセットアップする。続いて、NASの「Web設定」画面を開き、iPadから接続するための設定を行なう。

バッファローの「LS-Q2.0TL/R5」。容量は2TBで、価格は6万3600円(税別)
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 設定メニューから「メディアサーバー」を開き、「メディアサーバー機能」が「使用する」になっていることを確認。「メディアサーバー公開フォルダー」をプルダウンメニューから選択する。初期設定では「share」になっているが、「共有フォルダー管理」メニューであらかじめ作成しておいたフォルダーを選んでもいい。

メディアサーバーとして公開するフォルダーを選択する

 DLNAサーバーは、共有フォルダーの情報を記録したデータベースを一定間隔で更新している。ファイルを共有フォルダーにコピーしても、すぐには反映されないのだ。初期設定では「自動更新間隔」が60分に設定されているが、頻繁にファイルを追加・削除するなら短くしておいてもいいだろう。

「データベース更新設定」を短めに設定する

 子供が触る可能性のあるiPadからは利用できないようにするなど、DLNAサーバー側でアクセス権を設定することもできる。「Web設定」画面から「メディアサーバー」を開き、「アクセス許可DLNAクライアント」の一覧からアクセスさせたくないデバイスのチェックを外せばいい。iPadのMAC(Media Access Control address)アドレスは「設定」→「情報」→「Wi-Fiアドレス」で確認できる。

アクセスを許可するデバイスだけにチェックする

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DLNA対応アプリでiPadからNASに接続する

 iPadからNASに接続するには、DLNAクライアントアプリが必要になる。DLNAクライアントアプリのオススメは、無料の「」だ。DLNA v1.5をサポートしており、各種メディアサーバーにアクセスできる。もちろん、「LS-QL/R5」シリーズも即座に認識した。

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ファイル容量 1.5MB カテゴリ
対応デバイス iPad互換 対応OS iOS 3.2以降
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ファイル容量 2.4MB カテゴリ
対応デバイス iPhone/iPod touch
およびiPad互換
対応OS iOS 2.0以降

 動画がMP4、音楽はAACもしくはMP3、画像はJPEGと再生できるファイル形式は少なめなので、あらかじめ変換してから、NASに保存しておく。

 アプリを起動すると、ネットワーク内のDLNAサーバーが表示される。NASを選んだ後は、カテゴリーやフォルダーを選んでいき、ファイルをタップすれば再生・表示が始まる。検索機能やソート機能がないが、NASに保存する際にきちんと整理しておけば問題なし。操作に迷うことはなく、動作も高速で快適に利用できる。大きなサイズの動画を表示しているときなど、アプリが強制終了してしまうことがある。しかし、iPad用DLNAアプリが登場し始めた頃よりそういった頻度はずいぶん減り、我慢できるレベルになった。

起動画面からサーバーを選択する
「ビデオ」「ミュージック」「ピクチャー」から目的のカテゴリーをタップする
目的のフォルダーを開く
「再生できない可能性があります」と表示されているが、無視してタップする
動画を再生できた。音量などの操作パネルは、数秒で消える
サムネイル表示やスライドショーも可能
写真はフォルダーのほか、日付やタグでも分類される
音楽はアルバム、アーティスト、ジャンル、プレイリストなどから選べる

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動画はMP4形式、音楽はMP3形式でコレクションしたくなる

 Windows Media PlayerもDLNAサーバー機能を備えている。Windows内のファイルも、DLNA対応NASと同様に再生が可能なのだ。以前紹介した「」もパソコン内の動画をiPadで再生できるが、有料(350円)だ(無料版は「」)。同様の機能を備えるアプリとして、ZumoDrive運営企業ZecterがiPad用「」(無料)を公開しているが、同様、パソコンにソフトをインストールする必要がある。

Windows Media Playerの「ストリーム」メニューから「デバイスでのメディア再生を自動的に許可」にチェックすると、iPadからアクセスできるようになる
パソコン内の各種データにアクセスできる

 およびは、WMVなどiPadが対応していないファイル形式も再生できるのがメリットだが、MP4形式で動画を収集しているなら、も利用できる。

 パソコンなしでメディアファイルを利用できる気軽さは、1度試すと戻れなくなるほど。DLNAで再生できるように、動画はMP4、音楽はMP3で集めたくなることだろう。もしDLNAに対応するNASを持っているなら、ぜひとも試していただきたい。大量のメディアデータを持っているなら、新たに大容量NASの導入を検討することをお勧めする。

 DLNAアプリが「DTCP-IP」(Digital Transmission Content Protection)に対応していれば、著作権保護されたデジタル放送の録画番組を再生できる。まだ「DTCP-IP」に対応したDLNAクライアントアプリは登場していないが、数千円したとしてもニーズは高いはず。もしかしたら、TV番組さえ、iPadで見るのが流行るかもしれない。なるべく早い時期の発売を期待したい。

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ファイル容量 2.7MB カテゴリ
対応デバイス iPhone/iPod touch
およびiPad互換
対応OS iOS 3.0以降
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ファイル容量 1.1MB カテゴリ
対応デバイス iPhone/iPod touch
およびiPad互換
対応OS iOS 3.0以降
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ファイル容量 3.3MB カテゴリ
対応デバイス iPhone/iPod touch
およびiPad互換
対応OS iOS 3.0以降

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